難しい依頼者への対処方法
「難しい依頼者と出会った法律家へ ・パーソナリティ障害の理解と支援」(岡田裕子)なる本が出版されました。しかし「難しい依頼者」は相談段階で避ける(受任しない)のが最上です。弁護士にとって最重要なのは「これらの問題者を事前に察知し回避できる能力」だと私は思っています。受任後に使わされる精神的エネルギーは大いなる無駄だからです。「困った方の依頼をうける技量を上げる」なる発想は最初から間違っていると私は考えます。以下はFB友との議論。
1 難しいのは単に「問題がありそうだから嫌!」という姿勢をとっているだけでは「受任できる仕事が減っていく」こと。逆に癖の強い依頼者であっても仕事を続けていくうちに気心が合って良い関係を構築できる場合も大いにあります。なので弁護士はその辺の見極めが一番大変なんですね。
2 国選事件など依頼を断りにくい案件は本当に困りますねえ。
3 この本は「パーソナリティ障害の解説本」で終わってるところが残念です。
4 目次を拝見しましたけど、確かに法律実務で直ぐ役立つようには思えません。
5 私が法律実務で直接役立った本は(精神医学の領域になりますけど)中井久夫先生の「こんなとき私はどうしてきたか」(医学書院)。専門職一般に向けて汎用性の高い素晴らしい論考を残されていて重宝しています。広い教養を持っておられるのに自分の無知・弱さを肯定し、患者さんと謙虚に対面される中井先生に感銘を受けます。先生が患者さんに向ける第1声は「あなたは1生に何度しかない、とても重要な時にいると私は判断する。」ということだそうです(「私は判断する」という部分に力を込める)。「難しい依頼者」と出会った法律家の皆様にお勧めします。