誰に向けて・何のために
このコラムは601本目に入りました。06年9月17日から初めて10年。月5本・年60本のペースです。時々「誰に向けて・何のために書いているのか?」判らなくなるときがあります。
民法学者の幾代通先生もこう書いておられます(「民法総則第2版」青林書院)。
本書の執筆に当たっては、一方では民法を初めて学ぶ大学生諸君を相手に書いている部分もあるかと思うと他方では同学の先生方や多年実務に携わってこられた裁判官・弁護士の方々を相手にものを言っているようなところもかなりあり、校正刷りを眺めていると結局どちらにも徹底しなかったという感を深くする。これは私自身の煮え切らないところから出たとも言えるし、また他面では法律について書くことにつきまとう宿命なのかもしれない。
そんなわけで、この本はどうみても学部学生諸君向きのハンディな教科書(この「教科書」という概念が20年間法律教師をやりながら私にはいまだに良く分からないものであるが)などという範疇には入らないものであろう。
このコラムは弁護士実務を初めて学ぶ学生や司法修習生・新人弁護士を念頭に書いている部分があるかと思うと、哲学の先生方や多年実務に携わられた裁判官・弁護士を相手にものを言っているようなところもあり、過去の論考を眺めていると、どちらにも徹底していないという感を深くするものです。これは私自身の煮え切らないところから出たとも言えますし、他面で実務を論じることにつきまとうところなのかもしれません。このコラムは弁護士実務を初めて学ぶ学生や司法修習生・新人弁護士向きの「教科書」にはなり得ません。弁護士実務に関する私の貧しい理解を読書や経験を踏まえながら与えられた量的規模のなかにまとめているものに過ぎません。