5者のコラム 「5者」Vol.170

結びの言葉

この「5者のコラム」も最後の1本になりました。<千里の道も一歩から>という言葉がありますけど、この1000本のコラムも最初の1本からです。最初の「総論」(入門編)をアップしたのが2006年9月17日。漠然とした印象を描いていた「5者としての弁護士」の輪廓を軽く素描してみました。この時点では1000本という大それた企ては考えておらず、各10本くらいは書けるかなあという感覚でした。それから敷かれたレールを進んでいったのですが途中ネタに困りかけた時期もあります。しかし事後の読書・映画演劇・SNS等の情報を得てネタ切れの心配は一掃されました。
 このコラムは、HPをつくるにあたって「隙間を埋めるような感覚」で、軽い気持ちで始めたモノです。しかしながら書き続けるうちに「自分にしか書けない何かを残したい」という気持ちを否定できなくなりました。それは依頼者の遺言をつくる作業に何度も関与することにより強化されました。「自分が納得できる遺言をつくるのに何年かかるのだろう?」。それは自分の死を意識する「根源的時間」(ハイデガー)の感覚によるものです。以後、自宅のパソコンは(歴史散歩と並び)「5者のコラム」専用となり16年半にわたって自分の精神生活の中核に居続けることになりました。こうして完成したコラムが納得できる遺言であるか否かは判らないのですが、目標地点に到達したことで「何時死を宣告されても『ま、いっか』と思えるような満足感」を、ほんの少しですが感じています。執筆途中で願をかけた1000本という目標に無事到達することが出来、今はこういう時間を与えて頂いた神様・仏様に感謝です。家族と事務職員と依頼者のおかげです。多くの皆様に感謝して筆を置きます。長い間お読み頂きまして有り難うございました。深く感謝します。<完>

5者

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