5者のコラム 「5者」Vol.151

法律家は理想を失わない現実主義者であるべき

宮崎駿監督の言葉がネット上で紹介されていました。

理想を失わない現実主義者にならないといけない。
理想のない現実主義者なら幾らでもいるんですよ。

私はガンジーの碑文「7つの社会的罪」を紹介しています(学者3)。宮崎監督の言葉を下敷きに7つの社会的罪を敷衍しましょう。
1 理念なき政治(Politics without Principles)。現実的な政治は重要ですが理念が伴わなければならない。「理念を欠いた政治」は否定されるべきです。
2 労働なき富(Wealth without Work)。お金(富)は汚いものではありませんが崇拝されるべきものでもない。仕事によって得られた富こそ尊敬されるべし。
3 良心なき快楽(Pleasure without Conscience)。人生に楽しみは必要です。しかしながら良心が伴わない快楽はときに人生を破滅させる。要注意。
4 人格なき学識(Knowledge without Character) 。学問は貴重なものです。が、人格の伴わない学問はときに権力者の道具となり果てることがある。
5 道徳なき商業(Commerce without Morality)。商業を否定してはいけません。しかしながら、そこには道徳(倫理)が伴わなければならない。
6 人間性なき科学(Science without Humanity)。社会を維持するためには科学が不可欠です。しかし人間性を欠いた科学は社会を崩壊の危機に陥れます。
7 献身なき信仰(Worship without Sacrifice)。人間が生きるには何か信じられるものが必要です。でも謙虚さを伴わない信仰は狂気に近くなります。
 理想主義の法律家はたくさんいます。現実主義の法律家はもっといます。片方だけではダメ。法律家は「理想を失わない現実主義者」にならなければならない。