5者のコラム 「医者」Vol.124

対人支援職としての訓練を理論化する

法社会学の入江秀晃教授とFB上で会話。
H 「看護師たちの現象学」(青土社)が面白い。普通の看護師さんたちが普通に行っている行動が興味深い。同じ手法で弁護士業務を分析したいと思っています。
I 看護師が支援職として受けている教育は法律専門職にも必要な要素があると思います。例えばプロセスレコードといったクライアントへの関わりをふりかえるための方法論を学んだりしてます。それに比べれば弁護士などの法律専門職の支援のあり方はあまりにもプリミティブだという気がしていますが、いかがでしょうか?
H 弁護士も訓練を意識化する必要がありますが、現在のところ各人の「気づき」に委ねられているところが多く厳密な言語化作業は伴っていないのが現状です。先生がいわれるプリミティブ状態のままです。ただ言語化を進めすぎるとファーストフード店のような機械的マニュアルになりかねず困難を伴います。「対人関係専門職の現象学」を記述するのは難しいなあと思っています。
I 私はマニュアルを作ったり応酬話法的研修をするより真摯でありながら暖かい雰囲気の事例をふりかえる活動を入れたり看護や福祉のような支援職での理論や技法を認知的に学習するだけでずいぶん楽になるのではないかと考えています。(終)
 看護や福祉のような異分野での「理論や技法」を法曹実務家が学ぶ意義は極めて大きいものです。学べば「気が楽になる」のですから「共通の技術」として広める必要があると考えます。私は医学や看護学関係の本を少し読んだ程度ですが、それでも気が楽になりました。機械的マニュアルに陥る愚を避けながら、法曹実務家が身に付けるべき技法を考えていきたいと思っています。