5者のコラム 「医者」Vol.72
医者と弁護士は違う
河野真樹氏はブログでこう述べています。
医者と弁護士は全く違います。医者という存在は市民誰もがまずお世話になります。入院しなければならない病気にも何時なるか判りませんし、風邪やちょっとしたケガなどまあ大概の人は嫌でもお医者さんに行くことになります。人生の最期もまずお世話にならざるを得ません。弁護士は違います。少なくとも現在一般市民にとって「弁護士のご厄介にならなきゃならなくなった」という場面は極めて異例の事態あるいは降って湧いた災難かもしれません。大概の人が係わらなくても済んでいるという現実の違いは決定的なものがあります。(略)企業や団体のように恒常的に弁護士とお付き合いがある関係は別として一般の市民にとってはある案件での弁護士との付き合いは一生に一度あるかないかの代物です。ほとんど次はありません。一回こっきりの大勝負で身体や財産が決定的な状態になるのです。親しみやすさといっても仕事の性格が違いすぎます。
隠喩(メタファー)が成り立つためには何らかの意味で「似ている点」が必要です。しかし司法改革推進論者は医師と弁護士が「いかなる点で似ているのか」明らかにせず制度改変の根拠に用い続けてきました。隠喩の賞味期限が過ぎています。隠喩は論理ではなく情緒により人を動かす技術です。使い方を間違うと副作用がある典型です。医者と弁護士は違います。