5者のコラム 「易者」Vol.12
依頼を断る実践知
B・ハッチ「断る!技術」(三笠書房)は依頼の断り方をこう述べます。
1 日頃から友人・同僚にとって役に立つ人間になっておく。自分が友人・同僚から有用な人間であるという信頼を得ておくと、後ろめたさを感じ ないでノーと言える。自分が他人のために進んで多くのことをやっていると認識していれば 本当に必要なとき、良心の呵責を覚えることなく、自信を持ってノーと言うことが出来る。
2 「ノー」と言うのに喋り過ぎない。人は単にノーと言えばよいものを言い訳を付け加えてしまう。具体的理由を挙げれば挙げるほど相手は次のような行動に出る。①引き受けて貰うよう「出来ない原因を取り除く方法」を見つけ出そうとする。②そんな理由で断るのはおかしいと決めつけ、喧嘩になる。③嘘をついたと責める。
依頼を断る実践知を身につける必要性は高度です。東山紘久氏はこの実践知を「いかに自分の人生を守っていくか」「いかに自分の幸福を作っていくか」「いかにして大人になるか」の技術だと言い、次の3点を指摘します。①依存性を克服する:大人は対価を払わずに何かを手に入れることは出来ないが、依存性の強い人は一方的に利益を要求する・依存性の強い要求に屈してはいけない。②自他の区別をする:明確に「ノー」と言えるためには、その問題が「自分のこと」なのか「相手のこと」なのかの区別をしっかり付けておく必要がある。③智恵を身につける:自分の欲を知り昔からの智恵(ことわざ格言)を知る。正しく「ノー」と言えるためには、自分にとって大切だと思うことや優先順位の高いことについて、はっきりと「イエス」と言える勇気が必要である。