仕事における因果関係のパターン(=規則性)
斉藤由多加「指名される技術」(ゴマブックス)の記述。
ノウハウとは一見無関係に見える因果関係にパターンを見つけ出すことをいいます。パターン(=規則性)さえ発見してしまえばこっちのものです。偶然を必然に変え確実に結果を得ることが出来る。このやり方を世の中は「科学」と呼んできました。精神論で「運を味方にする」というのは実はそういうことを言うのです。ビギナーのホステスさんたちは安定してノルマや目標を達成するための水商売の第1歩「どうすれば客はより確実に指名してくれるか」「どうすると指名してくれないか」をしっかり研究することから始めます。もしその中に規則性があれば、あとはそれを繰り返せばいいわけです。偶然だったことを少しずつ必然に変えてゆく。これがいわゆるプロになるためにすべきことではないかと思うのです。
若手弁護士は安定して依頼者を獲得するために水商売の第1歩として「どうすれば相談者がより確実に委任してくれるか」を考察します。遡って考えれば「どうすればより多くの相談者を集めることができるか」を探求すること、もっと遡って考えれば「どうすればより多くの市民に自分の存在をアピールできるか」を探求することになるのでしょう。昔、弁護士業務における因果関係パターン(規則性)は各弁護士の個人的なノウハウに委ねられていました。しかし、近頃はこれを確実に結果を得ることが出来る企業的なマーケティングとして認識する動きが激しくなっているようです。集客への幻想を抱く弁護士をターゲットにした広告業者・マーケティング業者・ネット業者による「ひよこ食い」が広がっています。古い弁護士の考える仕事の因果関係のパターン(=規則性)とは「委任を受けた事件を誠実にこなし、それを繰り返せば結果は自ずからついてくる」というものであり口コミに委ねるものだったと言えます。こういう「いい加減な精神論」は過去のものなのでしょうね。