5者のコラム 「学者」Vol.16

ミッション・パッション・ハイテンション

私は5者14(12月21日)においてパッション(受難・情熱)を否定的文脈で使用し、他者の棘を受け流す術について言及しています。これらは「燃え尽き症候群」に陥らないための技術として意義があると思いますが、若い人の中には仕事にパッション(情熱)が持てないという方も少なからずいるようです。苦労して弁護士になったにもかかわらず弁護士の仕事がつまらないというのは気の毒です。齋藤孝先生は「働く気持ちに火をつける」(文春文庫)において次の「働く呪文」をあげています。ミッション・パッション・ハイテンションです。
1 「ミッション」とは出会ったものに触発されて「私の使命」へと高める技です。「素晴らしい人物に逢うこと・良い本を読むこと・まねる対象を見いだすこと。これらの出会いを大切なものとして自分の使命感(志)を醸成すること。こういった経験が自分が一生をかけて取り組む対象としての天職を見いだすことに通じる。この仕事感覚が職人気質である。」
2 「パッション」とはネガティブ体験を情熱へと反転させる技です。斎藤氏曰く「世に出た大人物も若い頃に人知れず苦労していることが多々ある。多くの成功者は若い頃のパッション(受難)をパッション(情熱)に変換して自己の創造性の原動力にしてきた。」 
3 「ハイテンション」とは身体能力を高めて良いポジションを獲得する技です。斎藤氏曰く「その人の身体の表情・声を聞いたときに、その人の持っているエネルギーは十分伝わってくる。経験知の厚み強みで世のポジションのほとんどは決まっている。」
 私も修習生の指導を多少引き受けました。私はテンションの低い人間ですが教育的文脈においてはミッション・パッション・ハイテンションを感じていただけるよう多少心がけています。