ヒョコ食いという現象
片山智宏弁護士による「資格を取ると貧乏になります」(佐藤留美・新潮新書)の書評。
お金を稼げないというのならまだしも「ヒヨコ食い」が横行しているようです。「ヒヨコ食い」とは稼げない社労士に対して「稼げるようになる」と銘打ってセミナーや研修会などを有料で開催するというものです。つまりお金を稼げるようになりたい社労士の窮状につけ込み社労士からお金を巻き上げるビジネスが成り立っているということです。同じことは弁護士業界でも起きています。最近はダイレクトメールで「稼げる弁護士になるためのセミナー」がコンサルタントや稼げている弁護士が立ち上げた会社から頻繁に届きます。また過払金バブル崩壊後今度は①交通事故②相続に大勢の弁護士が力を入れています。そこで、相続税のことを弁護士に教えるという名目での税理士のセミナーや交通事故の医療記録の読み方などを教える医療コンサルタントのセミナーなどが開催されています。よほどセミナーは美味しいのでしょう。1人3万円として50人集まればセミナー主催者(胴元)には1回で150万円が入ります。同じ教材同じ内容で東京・大阪・福岡と3回開催すれば450万円です。さらに講演を録画してDVDを1枚1万5000円で100枚売ればプラス150万円です。つまり「弁護士で儲ける」から「弁護士から儲ける」という流れができています。
昔の弁護士業界には「イソ弁」という有り難い制度があり、先輩弁護士から給与を頂きながら実践的法律業務のイロハを教えてもらえました。生まれたばかりで、か弱い状態のヒヨコを優しく見守っていただいたのです。ところが今やヒヨコは捕食されるターゲットになっています。このままの状態が続いてゆけば、いずれヒヨコはいなくなるでしょう。