ネット上のビョーキの原因と対策
インターネット上の言語表現にはどこか「人を狂わせる」要素が存在します。
情報ネットワーク法学会編「インターネット上の誹謗中傷と責任」(商事法務)にネット上の書き込みをめぐるビョーキの原因が次のように説明されています。
私たちが実際に顔と顔を付き合わせ会話をする場合そこで伝えられるメッセージのうち文字によるものは約35%に過ぎず、残りは口調・表情・身振りなどで相手に伝わるという。私たちはこの非言語(ノンバーバル)な部分で相手の嘘を見抜いたり、話し手の微妙な心の動きや迷い・真意をくみ取ったりしている。現在のインターネットでは、よほど卓越した表現を用いなければこの心の動きを相手に1回で伝えることが難しい。そこに読み手の思い込みや解釈が入りやすい。(略)要するにインターネット上の議論は、よほど目的を明確にし、理性を総動員しない限り、感情的になり易いのだ。
ビョーキへの対策として同書は次の「処方箋」を与えています。
1 匿名性を盲信するな(2チャンネルでさえIPアドレスを保存している)。
2 ネットの向こう側は生身の人間である(面と向かって言えるかを考えよ)。
3 ウェブ上で発信すれば取り返しが付かない(削除しても残ってしまう)。
4 コピペは短く・少なく・引用を明示(著作権を侵害しない)。
5 差別発言をするな(場合によっては「刑事責任」を問われることもある)。
6 掲示板のノリに乗せられるな(尻馬に乗って「誹謗中傷」しない)。
7 個人情報を書き込むな(悪用される可能性・法的責任を問われることも)。
インターネット上の「ビョーキ」は発症してしまうと治療が困難ですし費用対効果も悪いものです。事後的な治療よりも事前的な予防がはるかに大切ですね。