5者のコラム 「医者」Vol.144

スペシャリストか、ジェネラリストか

 「スペシャリストか?ジェネラリストか?」という問いがあります。理学療法士の記述を参考に(類推的に)考えてみます。

神経理学療法の専門理学療法士である筆者は神経系疾患をもつ患者を担当する時は自信を持って対応できるし、対応していかなくてはいけない。自身の興味や関心、勤務先からの要望など、いかなる理由であってもスペシャリストとしての能力を取得することはPTとしての価値を高め、その組織にとって貴重な人材となる。一方、治療経験の少ない疾患を有する患者や得意ではない領域の患者を担当するときには誰もが不安を感じることだろう。このような場合でも1つの専門領域の専門性を高めておくことが役に立つ。つまり1つの専門領域を持つことはそのPTの幹といえる。木の幹がしっかりしていれば、様々な方向へたくさんの枝葉を拡げていくことが出来る(藤野雄次編「そのとき理学療法士はこう考える」医学書院)。

私が比較的多く取り扱ってきたのが交通事故事件の被害者側です。「質」的にどう評価されるか?はともかく「量」的にはかなりの件数をこなしています。私は、被害者側代理人として「被害者が損保会社から不当な扱いをされてこなかったか?」を問いただしてゆく気概をもって対応していかなければならないと考えています。それが私の関心事であり依頼者からの要望です。被害者側の代理人たる能力を発揮することは私の「法曹実務家としての価値」を高めることになります(スペシャリストと言えるかは?ですが)。同時に、比較的経験の少ない領域の法律問題に関しても、不安を感じることなく対応できるようになりました。自分の専門性を意識することで「応用が利く範囲であるか否か」類推的に思考できるようになったからです。「木の幹」がしっかりしていれば、いろんな方向へ「枝葉」を拡げていくことが出来るようです(ジェネラリストと言えるかは?ですが)。