5者のコラム 「芸者」Vol.93

サービス業的観点の新人弁護士評価

中村淳彦「日本の風俗嬢」(新潮新書)に以下の記述があります。
 

「草食化」という言葉に象徴されるように性風俗に対する男性側の需要は下落している。それなのに女性が大量に流入してくるとどうなるか。当然、供給が需要を上回ることになる。すると供給側で激しい競争が繰り広げられる。かくして2000年代以降は風俗嬢というスタートラインに立つまでに激しい競争が起こるようになった。供給過剰なので雇用する性風俗店と客による女性の選別が始まる。容姿を中心とした外見スペックだけでなく接客サービス業なので技術・育ちや性格や知性などを含めたコミュニケーション能力が加味されて性風俗がセーフティネットではなくなり選ばれた女性がつく職業になってしまった。

裁判所に係属する一般民事事件は減り続けています。過払い金バブルが収束し、景気低迷人口減少・高齢化などにより(ある種のエネルギーを燃料とする)事件自体が少なくなっているのです。かような中に大量の若手弁護士が流入してくるとどうなるのか?当然ながら供給が需要を著しく上回ることになり、供給側で激しい競争が繰り広げられることになります。「司法改革」以降、弁護士はスタートラインに立った後の生存競争が激しくなりました。供給過剰のため事務所と顧客による新人弁護士の選別が強まっています。新人は容姿を中心とした外見スペック・接客の技術・育ち性格などを含めたサービス業的観点が加味されて評価されるようになりました。タレント化も急速かつ広範囲に進んでいます。かつての司法試験には敗者復活戦的な側面があり、コミュニケーション能力が低い落ちこぼれが一発逆転を狙うことも珍しくありませんでした(易者7・07/5/2)。それでも受かりさえすれば何とかなっていた。受かりさえすれば「ブ男」でもプライドを保持しながら仕事ができたのです。しかし今の制度には昔のような一発逆転的機能はありません。法律業界はサービス技術が苦手な「ブ男」には居心地が良い場所で無くなってしまったようです。

5者

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