5者のコラム 「役者」Vol.49

面接のポイント

 家裁調査官・岩瀬純一氏は家庭裁判所における調査官と来所者との面接のポイントを次のとおり指摘しています。とても参考になります。
1 面接を仕事と認識すること (人と逢うことをきちんと仕事と認識することです。不意の来庁者に対しては意識が薄まりやすいので要注意です。)
2 相手からどのように見られているかに気を配ること (服装は重要な役割を果たします。当事者に与える印象を考慮し服装を考えることが大事かと思います。)
3 傾聴すること (耳を傾けて聞く・体を傾けて聞く。こちらの枠組に相手を導こうとせず、相手が裁判所に訴えたいことは何かを聴くことが大事。)
4 自分の心に浮かんでくる疑問や感情を常にチェックしていること (感情的な行動を鎮めてもらうには情緒的に安定した状態でなければいけません。自分の言動に伴っている感情に気づき、これをコントロールすることが必要です。)
5 相手のおだてや褒め言葉あるいは挑発に乗らないこと (褒められたり親しくなったりすると不用意な発言・なあなあの雰囲気が生じやすくなります。イメージとしては常に面接の目的を自覚し、当事者と一緒にその目的を考えていく三角形のイメージで語りかけることがコツです。)
6 面接する場を工夫すること (できれば個室が理想です。物理的空間的に現実から切り離されることで人は本音を語れるようになるのがしばしば。)
 (「司法臨床におけるまなざし・家事調停にかかわるあなたへ」日本加除出版)
 素人の心は法曹実務家の規範意識(心構え)によって全く異なったものとなります。司法臨床における役者の意義は大きいと言わなければなりません。

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