5者のコラム 「芸者」Vol.46

自分磨きの投資

 蝶々さんは「銀座クラブは女の大学」(小学館101新書)でこう述べます。夜の銀座の世界は芸能界と一緒で華やかな魔力とパワーがあるぶん自分や状況を冷静に計る賢さがなければ飲み込まれ消費されてしまう危険性も多分にあるコワイ世界でもあると思います。(38頁)パッと見の高級に魅せられて銀座って楽して儲かるんだなって思うかもしれないですが実は経費が結構かかるんです。売り上げにつながる「仕込み」はヘア&メイク、ネイル、エステはもちろん、お洋服、着物の着付け、お礼状などのお手紙も、ぜーんぶ自腹。(42頁)銀座で売り上げを伸ばすためには相応の経費がいるんです。会社だって同じこと。(略)ひとつだけハッキリ言えるのは「自分経費を惜しむ女に大物も大当たりも来ない」これでしょうか?ビジュアルに関しても銀座の女がどんどん垢抜けてゆきシロウト女とどこか違って見えるのは毎日コツコツ美容やファッションにきちんとお金をかけて磨いているからかもしれませんね。(56頁)
 弁護士業務には独特の魔力があります。法律的パワーをうまく発揮できれば達成感の大きい仕事をすることが出来ます。スポットライトを浴びる華やかな舞台に立つこともあります。楽して儲かると勘違いする人がいるかもしれません。しかし弁護士業務の大部分は他人の失敗行動の地味な尻ぬぐいです。日の当たらない仕事や苦労の割に儲からない仕事の方が多いのです。弁護士実務の世界は自分の状況を冷静に計る賢さがなければ、あっという間に飲み込まれ消費される危険性が多分に存在するコワイ世界です。状況を見極める賢さを維持させ向上させていくための仕込みが必要です。自分に対する投資が必要なのです。これらは全部自腹です。一定金額を自分磨きのために投資し続けなければなりません。自分を磨く努力をしない弁護士に良い仕事は回ってこないのです。

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