5者のコラム 「5者」Vol.71

法曹人口激増の不合理性

 河野真樹氏は和田吉弘弁護士(法曹養成制度検討会議委員)が第11回会議に提出した資料を次のように上手に要約しています。(若干補正)
1 法曹人口が増えても法曹需要の増加は認められなかったのだから、法曹人口増で法曹需要が顕在化するという主張はもはや説得力がない。
2 弁護士アクセスが困難な市町村で仕事すべきだと言うのなら、数百万円にも上る費用と数年の時間をかけたことに見合う仕事があることを実際に示すべきだ。
3 一定数の弁護士が企業や行政で活動するようになったが今後企業や行政などが修習修了時に就職できない新人を吸収することはあり得ない。
4 OJT体制が不十分という理由で能力がある人材に資格を与えないのは不適切という主張があるがOJT不十分の弁護士によって迷惑を受けるのは国民だ。
5 法曹資格を取得しても基本的に生活が保証されないのであれば、多大な時間と費用のかかる法科大学院に人が集まらないのは自明である。
6 法科大学院の教育は現状では司法試験にも実務にも役に立たない。法科大学院教育により多数の優秀な法曹が輩出されたとは言えない。
7 法廷外活動においても「法廷弁護士としての基礎知識」は必要である。
8 広く資格を与えると良い人材が入りやすくなるという指摘は「広く資格を与えた場合に良い人材とは言えない人材が入りやすくなる」という観点が抜けている。
9 諸外国との比較・訴訟外活動での弁護士役割をいう指摘は日本の隣接士業の存在やそれとの関係を無視している。(13/3/28) 
 議論状況が良くまとまっています。お見事です 

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