法律コラム Vol.35

措置解除の申請

精神医療施設における措置入院はかつて保安処分的な運用が為されており、親族の同意すらない強制入院が容易に正当化されていました。仮にいったん措置入院の要件が認められても要件が消滅したならば速やかに措置解除手続がなされなければなりません。

(申請の趣旨)
 貴病院に措置入院中の*氏(昭和*年*月*日生)について、措置解除の手続きをとっていただきますよう申請します。
(申請の理由)
1 申請者は事件本人*氏の実子です。
2 *は近所の者に加害行為をしたとして平成*年*月*日付で貴病院に対する措置入院の処分を受けました(*年*保健第*号)。
3 上記措置入院の要件ないし手続に特に異議を唱えるものではありませんが、措置入院後1ヶ月以上の時間が経過していること・親族が措置入院ではなく医療保護入院を希望していること・親族が依頼している病院(*病院)において受け入れる旨の表明がなされていること・現時点では*氏に自傷他害の明らかなおそれは消失していること等に照らし、もはや措置入院という強制手続ではなく親族の同意にもとづく入院に切り替えるべき時期に来ているものと考えられます。
4 よって申請の趣旨記載の手続をとっていただきますようお願いします。
  本件申請は法38条の4(入院者またはその保護者の求める退院請求)ではなく法29条の4(要件消滅の場合における都道府県知事による措置解除)の職権発動を求める趣旨のものです。

* 上記書面を受け病院側で県知事に対する措置解除手続きが為され、措置入院は解除されました。その後、親族が依頼している病院に医療保護入院がなされて手続は終了しました。

前の記事

交通事故賠償における消滅時効

次の記事

営業価値の評価基準