5者のコラム 「医者」Vol.96

弁護士の専門認定

現在、弁護士に関し医師のように「何が専門か」を公的に認定する制度はありません。そこで「弁護士専門認定制度」を設けてほしいとの要望が弁護士や市民の一部の方から出ているようです。
 この制度に関してブログ「黒猫のつぶやき」に以下の記述があります。
 

東京の弁護士は既に専門分野に特化しなければ生き残れない状況にあり、自らの専門性に関し社会から信頼される広告表示の方法がないと結局は(大手渉外事務所や外資系など)独自ブランドイメージを形成している事務所以外は価格で勝負するしかなく、果てしないダンピング競争になってしまいます。そのため、きちんと専門性を備えた弁護士が生き残る健全な業界にするためには、もはや専門認定制度を導入するしかないという認識を持っている弁護士が少なからずいると思います。が、地方では大きく事情が異なります。弁護士が県内数百人あるいは数十人程度しかいない地方というのは弁護士に対する需要自体がそれほど多くないため、そのような地方で開業している弁護士は必然的に「何でも屋」にならざるを得ず、東京の弁護士のように特定専門分野に特化するのでは逆に生き残れなくなってしまうのです。
 では東京の弁護士だけが専門認定を受け、どんどん自分の専門分野に特化していき、一方で地方の弁護士が「何でも屋」であり続けると何が起こるか。おそらく東京の弁護士が地方の事件を吸い上げていく傾向がさらに加速するでしょう。

黒猫先生が述べておられるように法的市場が小さい地方で開業している弁護士は(コンビニエンスストアの如き)法律的「何でも屋」にならざるを得ません。マニアックな需要で仕事を継続するには「広範囲の市場」と「ネームバリュー」を持たなければ絶対にやっていけないのです。東京の弁護士が地滑り的に『専門家路線』と『拡大路線』と『商業路線』を継続し続け、その延長線上で、地方に多数の『支店』を設けだしたら(現に高裁所在地にはたくさん出来始めています)遠くない内に田舎弁護士の経済基盤は崩壊するでしょうね(涙)。これも「司法改革」の成果でしょうか?