久留米版徒然草 Vol.285
デユルケームの社会統合
NHK「100分で名著:デュルケーム・社会分業論」読了。社会学部生時代に多少読んでいたが久しぶりに論旨に接し感銘を受ける。以下要旨。>人々の信頼や共感といった精神的な繋がりが社会を成り立たせる。社会は個人の意識の外にありながら(外在性)人々の行動を規定する(拘束性)。他者と異なる行動をとったときに非難されるか称賛されるかは社会的事実に適合的であるか否かにかかる。現在、個人は社会から自由(自立)すると同時に依存(拘束)を増している。法律には抑止的法律(例:刑法・社会との関係)と復元的法律(例:民法・当事者間の関係)がある。古い社会ほど抑止的法律の割合が大きい。我々はそれが犯罪だから非難するのではなく、我々がそれを非難するから犯罪なのである。現代社会において自立は権利を通し越し義務になっている。アノミーとは孤立しているために生きる意味や目標が見いだせない状態。自由の重みに耐えかねている状態。分業が生産性を向上させるのは副次的な効果に過ぎない。分業は「社会の統合可能性の基礎」だ。現在の難問は分業の巨大化(グローバル化と規模拡大)により互いの協力が見えにくくなったことである。