久留米版徒然草 Vol.278
四季と死期の順番
思うところがあって徒然草155段を読む。深く染み入る。
生・老・病・死の移り来る事、又これに過ぎたり。四季なほ定まれるについであり。死期はついでを待たず。死は前よりしも来らず、かねて後に迫れり。人皆死ある事を知りて、待つこと、しかも急ならざるに覚えずして来る。沖の干潟遥かなれども磯より潮の満つるが如し。
<現代語訳> 生れること・老いること・病むこと・死ぬこと。これらが移り来ることは季節以上に速いものである。四季にはそれでも決まった順番があるが死期には順番などない。死は前からばかり来るものではない。いつの間にか後ろに迫っているものである。人間は皆、死ぬことを知っていて、待っていても、それほど切迫した状態ではないときに、自覚なしに死はやって来るのだ。沖の干潟ははるか遠いといっても足元の磯から潮が満ちているのと同じことである。