無料の仕事とプロの仕事
高橋桐矢「占い師入門」(雷鳥社)の記述。
占い師は誰にでもなれる仕事ですが、ホンモノの占い師になるのは、やっぱり簡単ではないのです。占い師の仕事の基本は人を占うことです。占いを趣味ではなく仕事に出来るかどうか、それはつまりあなたの占いにお金を払ってもいいと思える人がいるかにかかってきます。無料で占い練習をしているときに「お礼させてください」と思う人が現れたら、あなたはプロになれる人です。もし(やっぱり無料占いだからこんなものか)と思われていたら、まだプロにはなれないレベルです。もちろんプロになってからも研鑽と学びは欠かせません。占い師には免許も資格もないので私が占い師だということを保証してくれる人は誰もいません。だからこそ、わたしは占い師として自覚とプライドと責任感を持っています。
弁護士は依頼者の名誉・身体・財産を左右する存在です。誰にでもなれる仕事ではありません。が司法試験合格者を大量に増員し過ぎたために法律実務の現場に深刻な弊害が生じています。弁護士がプロとしてやっていけるかどうかは、その弁護士の仕事にお金を払ってもいいと思える人がいるか否かにかかってきます。学生の練習にお金を払う人などいません。司法試験合格までに基本的法律知識を頭に叩き込み、これを司法修習において実践的に身体で使いこなす訓練を尽くして、はじめて実務法曹の国家資格が与えられなければなりません。弁護士登録後にプロとして仕事をやっていけるかに関しては別の能力が要ります。経営者的感覚も必要です。しかし、だからと言って弁護士としての自覚・プライド・責任感をドブに捨ててはいけません。事務所を開業した後の研鑽と学びは欠かせません。どんな職業の方もこういった諸々の要素のバランスを取りながら御苦労されているのでしょうけれども、弁護士の場合、特にこれらのバランスの取り方が難しいように感じます。