タガを外す?
近時、私は「自分は提訴しない(できない)だろうな」と感じる事件の被告側を受任することが増えてきました。最初は何故こんな事件を提訴するのだろうと思っていましたが「将来の弁護士活動はこうなるのでは?」という予感も生じています。昨年小林正啓弁護士(大阪弁護士会44期)の講演会が行われ「紛争解決司法から紛争予防司法へ、紛争予防司法から紛争創出司法へ」という命題が論じられました。この命題は弁護士過剰社会での司法のあり方を見通したものと私には感じられます。ブログ「弁護士オンブズマン福岡」に以下の記述があります。
我々が本気で取組むには、まずは我々自身の意識改革が必要です。・中堅ベテラン弁護士の多くは被告の心情に偏向しがち。・人権派弁護士はサービス品質を落とさずに廉売する事態を想定しがち。・食えない弁護士はテラスのサラリーキャップ制導入に与しがち。全て変えなければならない。我々の取組みが奏功したら弁護士の未来は明るい。・財界も本腰を入れ,インハウス需要も爆発的に伸びる。・裁判所が悲鳴をあげ,ひいては法曹一元に近づく。以上はもちろん極論です。恐らく皆うっすら気付いてるけど言語化するには躊躇するテーゼでしょう。「タガを外しましょうよ」って、お誘いですw。
昔の弁護士は要件事実と正義の呪縛(タガ)で筋の悪い事件を受任しないように注意を払ってきました。しかし弁護士過剰社会の中ではタガを外し、昔だったら受任しないような事件を提訴して原告被告双方に「有効需要」を生じせしめる訴訟活動が増えると予想されます。これを揶揄するのは止めにしましょう。この流れは司法制度改革審議会が形成したのですから。