5者のコラム 「役者」Vol.72

過去の私から見た未来・未来の私から見た過去

かつて司法修習生の間には強固な仲間意識があり、同期生の繋がりは一生続くと認識されていました。仲間内で非公式の同期会を行うことは普通に行われています。公式の同窓会は10年目・20年目という節目で行われています。開催する場所も概ね決まっているようで10年目は熱海・20年目は京都が定番です。平成25年8月24日、京都で司法修習46期の20周年同窓会が開催され、私も参加しました。2次会はクラス毎に行われます。私の所属していた4組は(監事のご尽力により)東山の立派な料亭での2次会となりました。1次会2次会を通して元教官や同期生のいろんな話を聞き、大いに刺激を受けました。実務法曹の活動期間は40年程度です。今その中間地点にいることになります。ある人が「あの頃の自分はどんな弁護士になりたかったんだろう?その頃の私が今の自分を見たらどんな風に見えるんだろう?」と語っていて、私にはとても印象深いものでした。「現在の私」は「過去の私から観た未来」であり、「未来の私から観た過去」です。司法修習生を終了したのは31歳のとき。私は今51歳です。20年前を想起するとともに終着点となるであろう20年後(71歳)に思いを巡らすことができた良き同窓会でありました。弁護士生活を演劇に見立てるならば今は第1幕が終わり第2幕の幕開けを待っている状況なのかもしれません。過ぎ去りし日々を振り返り、今後の弁護士生活に見通しを立てるために私はこのコラムを書き続けているように感じます。観想的コラムの執筆を続けている今の状況は第1幕と第2幕の合間に埋め込まれた10分間の休憩時間なのでしょう。第2幕は第1幕と全く違った舞台装置とキャステイングと演出が必要です。自分なりに自覚を深めながら今後の構想を練り直したいと思っています。

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