久留米版徒然草 Vol.124
銀河鉄道の父と妹
科学と民俗を絶妙に調和させた宮沢賢治の作品が花巻で生まれたのは奇跡です。でも賢治だけではこれら作品は生まれなかったし世にも出ませんでした。一般に良い物語が生まれるのはこれを熱心に受け入れてくれる良き「聞き手」が現れた時に限られますし良い作品が世に出るのは理解力と財力を備えた良き「発行人」が現れた時に限られるのです。賢治が素晴らしい作品を生み出せたのは無二の読者である妹がいたからであり、彼の死後「宮沢賢治全集」が世に出たのは理解力と財力を有する父親がいたからです。映画「銀河鉄道の父」を拝見して私は強く感じました。