久留米版徒然草 Vol.131

研究を反映したドラマ

「光る君へ」の参考に読んだ。最近多く出版されている便乗本と違い2015年発行の学術本(著者は愛知県立大学教授)。さすが山川出版社。年譜を観ているとドラマの進行が良く判る。

 脚本家は近時の研究を反映して(通説的見解に挑戦する意気込みで)物語を構築していることが感じられる。だからこそ通説を死守したい方々は「光る君へ」に対して極めて攻撃的なのであろう。「枕草子」や「紫式部日記」は「何が書かれているか」より「何が書かれていないか」に重要な政治的メッセージが込められていることも良く判る。歴史の認識はこうやって変わっていく。
* 山川出版社の日本史リブレットには「藤原道長」もある(便乗本ではありません)。従来の藤原道長のイメージ(政変や陰謀により権力を掌握した悪役政治家)に反旗を翻す。著者は東京大学教授。学者の努力による成果が「光る君へ」に生かされている場面は多い。

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