久留米版徒然草 Vol.251
発明と企業化
藤森照信「建築探偵放浪記」(経済調査会)。モニエの給水塔に感銘(№12)。
モニエは植木屋のオヤジ。発明したのは鉄筋コンクリート構造の植木鉢(1867)。同じ構造の船がランボーから出願され特許を得ている(1855)。鉄筋コンクリートは植木鉢や船ではメジャーにならなかったが「建築」で不動の地位を築いた。優れた「発明」も企業化の過程を経ずには発明家の私的試みに終わる。フランスで夢を絶たれたモニエは1887年特許権をドイツのヴァイスに売る。彼は優れた建築業者でありモニエの経験的発明に構造力学的なメスを入れて改良し建設現場に投入し改良して「企業化」に成功。科学の世界では、アイデアが「別の分野」で花開くことは良くある現象なのだ。