久留米版徒然草 Vol.231

危機に立つ日本の弁護士2

私が指導した女性修習生は直ぐ企業内弁護士になりました。修習生当時から「切った貼ったの世界」に馴染めない感じがしていたので良い選択だと思いました。安定した良企業のインハウスという職場は女性にとって働きやすい環境ではないかと感じます。現在の二極化する事務所運営(とりわけ下層)は特に女性には厳しいと推察します。(以下FB友と議論)
1 「下層」は男女を問わずしんどいです。地方の弁護士が民事法律扶助と刑事国選事件など「時間単価が低い事件」を担わないといけない状態が気になっています。民事法律扶助は切り捨てて国選だけでも維持するようにしつつ比較的割のよい案件を地方でもやれるようにしないといけません。
2↑昔は割の良い仕事が地方にもたくさんありました。司法改革以降、中央の大型事務所が大々的な宣伝をして「美味しい事件」をトロール漁の如くもっていく現象が出現し、地方のマチ弁には時間単価が低い事件しか残らない印象があります。司法改革が当初は上手くいっているように見えたのは過払金バブルで地方に仕事が多い外形が瞬間的に生じたからに過ぎず、根本的には法人化(支店の容易化)IT化(裁判所へ出向く必要なし)広告自由化(資本力の差が出る)などで地方マチ弁の苦境は最初から予定されていたんでしょう。今から「割の良い案件」を生み出すのは極めて困難です。だからこそ多くの若手が「営業活動」に精を出しているのだろうと推測します。
3「自らの市場」を作り上げないといけませんね。弁護士であるだけでは持続できません…
4 企業のインハウス業務だって所詮は「プロレタリアート」なので「そもそも何故に弁護士資格は必要なのか?」を大学生はローに行く前にもっと真剣に問うべきだと思います。
5↑プロレタリアートと言われたらそうなりますね。あくまで比較・相対的な問題なので。学生時代から「弁護士資格はなぜ必要なのか」を問える鋭い人は現状のロースクールに行かないんじゃないでしょうか。行くとしても裁判官・検察官になるでしょうね。「寅に翼」は「弁護士業が上手くいかず裁判官になって名を遺す」女性を描きましたが、その意味でも時代を象徴していたのか?
6 いずれ「プロフェッション」という言葉は死語になるのかも?

クライアントからの敬意と感謝

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