久留米版徒然草 Vol.141

家庭裁判所の理想

沢村一樹さん演じる内藤頼博裁判官は実際変わった方でした。元殿様であり(新宿御苑は元内藤家屋敷・この北側に設置されたのが内藤新宿)芸能界にも面識があったそうです。>旧信州高遠藩主内藤子爵家の第15代当主として東京府豊多摩郡内藤新宿町に生まれる。1931年、東京帝国大学法学部卒業。東京家庭裁判所長、広島高等裁判所長官、名古屋高等裁判所長官を歴任。1973年に退官。 弁護士の傍ら、1979年から1987年まで多摩美術大学学長、1975年から1991年まで多摩美術大学理事長、1987年から1993年まで第22代学習院院長を務めた。(以下、入江秀晃教授と議論)
I 内藤判事は判例タイムズ(1964)に寄稿した『二十世紀の裁判所』で「少年を犯罪というふしあわせから救い出そう。家庭を紛争というふしあわせから救い出そう。そして全ての人々のしあわせを少しでも実現しよう。そのために家庭裁判所は存在する。」と理想を宣言されています。
H なるほど。熱意の人、内藤さんらしさに溢れた理想の宣言ですね。
I その内藤さんを「当時の気の高ぶり」と冷徹に批判するのが門口判事です(「家庭裁判所の裁判官に求められるもの–現代における家庭裁判所の役割の中で」家庭裁判月報61巻1号(2009年)。
H うーむ、家裁制度が安定した後の記載だからなのか、手厳しいですねえ。
I 私は内藤判事に共感するので「家裁も地裁と同じように考えることで充分だ」という冷笑的な記載には共感できません。家庭裁判所の福祉的機能はもう一度考え直す必要があると思います。
H 全く同感です。家裁の裁判官にはもう少し「暖かいもの」を感じさせて欲しい。

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