久留米版徒然草 Vol.118

生の技法について

アリストテレスの「倫理学」とは<生の技法>のことである。それは(理論的形而上学ではなく)「実践哲学」を意味する。アリストテレスは「常にそうであるもの」(自然学・数学など)と「たいていの場合にそうであるもの」(政治学・倫理学など)を区別した。論じる領域によって「真理の蓋然性の程度が異なる」というのがアリストテレスの主張である。究極目的としての「幸福」とは遥か遠くにあるものではなくて「今ここの自己の行為に常に意味を与え続けるもの」のことである。徳を身に付けることは「技術」を身に付けることと同じだ。徳を身に付けるためには「モデル」が必要である。(NHK「100分で名著:二コマコス倫理学」山本芳久)

前の記事

山鹿の八千代座

次の記事

すぐ死ぬんだから(原作)