久留米版徒然草 Vol.16

幸福感情を阻害するもの

鷲田清一「メルロ=ポンティ」(講談社学術文庫)に次の記述がある。

我々の幸福の能力は幼少期が我々に拒んだものとそれが我々に与えたものとの間のある種の平衡に左右される。

深く深く共感する。幸福感情は(生理学における酸・塩基の平衡と同様)幼い頃の不成功体験と成功体験のバランス(平衡)により育まれるもののように思われる。成功ばかりでもいけないし、不成功ばかりでもいけない。悲惨すぎる境遇(不成功ばかり)が幸福感情を阻害するのは明らかであるが、恵まれすぎる境遇(成功ばかり)も幸福感情を阻害する。

前の記事

ロボットなんだから

次の記事

書記官のブーツ