歴史コラム(お姫様の要件)
私は「蒲池の姫君」で蒲池徳子姫に触れ約400年後に現れた蒲池法子さんに言及しています。昨年「松田聖子」コンサートを拝見し感じるところがあったので小文を纏めました。
「お姫様」の要件なるものを考えている。①長い歴史を背負っている、②美しく聡明で素晴らしい才能を有している、③にもかかわらず大変な不幸に見舞われる、④なのに自分の人生に感謝し多くの人々に幸福を与え皆から愛される。私がイメージする要件はこの4つだ。
私は2024年7月23日「マリンメッセ福岡」にてコンサートを拝見し松田聖子さんは完璧な姫君だと感得した。以下論じる。①松田聖子(蒲池法子)さんが中世からの長い長い歴史を背負っておられることは以前紹介した。天正9(1581)年に謀殺された蒲池鎮並の娘徳子に言及している。徳子姫は竜造寺による鎮並謀殺後の殺戮から逃れ島原半島で命を永らえた。有馬義信の庇護を得て66歳の人生を全うし蒲池の生命を後世に残した。蒲池法子さんはその末裔だ。蒲池法子さんこそ400年の時を経て生まれ変わった徳子姫だと私は確信している。②聖子さんの可愛いさ美しさは私が言うまでもないところであるが、トークの中身で頭の良さも直ぐ伝わってくる。62歳という年齢を感じさせないステージングに大いに感銘を受けた。2時間以上のステージを1人でこなすために日頃からどれほどの節制を続けているか想像するに余りある。なのに③聖子さんは令和3(2021)年に愛娘(神田沙也加)様を亡くされる不幸に見舞われた。その悲しみはどれほど深いことだっただろう。コロナ禍中でもあり聖子さんはしばらく表に出てこられなかった。2024年3月9日ミュージックフェア特集では「TearsInHeaven」(@クラプトン)など暗い曲が目立った。娘を亡くした自分の精神状態を維持していかなければならない・でも彼女の下には多くのスタッフがいてその生活を支えていかなければならない。「姫君としての苦悩」を私は感じた。番組中でこう述べられていた「この曲からたくさんのことを教えてもらったというか。何があっても・どんな時も前向きに生きていかなければいけない・頑張っていかなければいけないというのを、この曲から教えてもらいました」。なのでコンサートがどんな構成になるのか判らない状態で私は臨んだ。が、④今回のツアーはデビュー以来の明るい曲が中心で多くの観客を総立ちにさせるものだった(自身のドラムやギターも披露された)。恒例の久留米弁トークやリクエストに即興で歌唱するコーナーもあった。私の印象に残った曲は瑠璃色の地球・レモネードの夏・赤いスイートピー・SweetMemories・ハートをRockなど。支援してくれるファンへの感謝を聖子さんが何度も何度も口にされていたのが印象的であった。そんな聖子さんをファンは愛し、聖子さんから生きるエネルギーを得て幸福を感じているのが良く判った。
久留米市立荒木中学校の正門は平成9年11月2日に創立50周年記念事業で創設された。寄贈をしたのは荒木窯業株式会社と蒲池法子さん(卒業生)。一昨年(2023)の久留米の大規模災害に関しても聖子さんは市に大金を寄付されている(「felicia club」名義で1000万円を寄付)。後に「被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。私の大切な故郷、久留米の一日も早い復興をお祈りいたしております」と暖かいメッセージも寄せられている。聖子さんが姫君としての社会的責務を意識されていることは明白である。特筆すべきは、多くの芸能人が無為に過ごしたであろうコロナ禍中に、通信教育を受けながら2024年春に中央大学法学部を卒業されたこと。これほどの社会的成功を収めながら、なお高い知性を身に付けようと努力を継続されている松田聖子さんを私は尊敬している。
デビュー後、45年間もアイドルの地位を保ち続け、現在もこんなに大規模なコンサートを開催できる歌い手は他に存在しない。コンサートを拝見し松田聖子さんが今も変わらず「歌姫(お姫様)」として多くのファンに愛され続けている理由が少し判ったような気がした。