5者のコラム 「医者」Vol.99
精神疾患の生物学的要素と社会的要素
NHK「病の起源うつ病」を拝見。対象となる脳内部位は偏桃体。身の危険を知らせるために生物体として発達した器官だ。人類の進化に従い偏桃体は天敵だけでなく孤独にも反応するようになる。記憶により反復され言語により拡散されるようになる。他方ストレスを防いでいた人間の平等性・公平性は文明の進展により破壊された。精神疾患の生物的要素と社会的要素を調和させた良い解説がなされていた。以下、FB友達であるTさんとの会話です。
T 「原因は判った・後は解決法だ!」という番組だったのでしょうか?
H 薬物療法に批判的ニュアンスが込められており生活改善の重要性が提示されていました。脳内に直接的刺激を与える方法の紹介は良い印象でありませんでした。
T 日本の精神医学は薬物療法が主体ですからね。認知行動療法がある程度その効果を認められていますが、デイケアやカウンセリングについては軽んじられているのは否定できないと思います。脳内に直接刺激を与える方法は今も電気ショック療法という名で行われています。全身麻酔をかけて2週間で5,6回高圧電流を流してホルモン腺を刺激しセロトニン等うつ病に関係するホルモンの分泌を促進させる治療法です。科学的立証はなされていないのですが効果があるようです。
H 診療報酬体系や製薬会社の問題(要するに「利権」の問題)もあるようです。
T そういう打算的部分があるのは間違いないでしょう。