5者のコラム 「役者」Vol.126
歌詞によるエッセイのようなもの(その1)
「小さい頃は神さまがいて不思議に夢を叶えてくれた」 幼い頃は不思議な力が働いていて物事は自然と進行していた。齢を重ね、不思議な力の大部分は大人たちの陰の努力の賜物であったことを知る。同時に優しさの反対側の寂しさの意味も多少は判るようになる。寂しさに包まれたなら目に見えないことすらもメッセージになる。
「闘う君の唄を闘わない奴等が笑うだろう」 学生時代に何と闘っていたのか記憶も薄くなっているが当時の私は何かと闘っていた。学問的環境と無縁の実家でそんな自分の心象風景を語る気にはならなかった。千葉に居た年上の従姉妹夫婦だけが理解を示してくれた親族であった。明日は従姉妹の7回忌。千葉まで出向いて参ります。
「目立たぬように・はしゃがぬように・似合わぬことは無理をせず」 若い頃無理をして疲れたことが多々あったので以後できるだけ無理をしないようにしている。できないことはできない。似合わないことはしない。好きなことだけ息長く続けることを意識しています。私の密かなる願いは「時代遅れの男になりたい」
「憧れのあの人は罪なことだよ先生」 私の師匠は最高だという誤解または妄想により生徒は成熟のプロセスをたどることができる。誰にとっても良き師匠など存在しない。良き師匠は「自分の師は誰か」と探し続ける者において、師に対する美しい誤解が成立した時に現れるとジャック・ラカンが述べていた。私の哲学の師は既に亡くなっている。もう一度「個人授業を受けてみたいよ」