欲望と良識の関係・哲分補給の意義
鉄は桁違いに採掘可能埋蔵量が多く(約2320億トンと推定されている)安価で強固な素材として不可欠です。生物にとり鉄は必要不可欠な元素でもあります。「モノづくりの原点・科学の世界15鉄の起源」(ニッポンスティールマンスリー2004・10)の記述。
生物にとって必要不可欠な酸素は、高いエネルギーを生み出す一方で、あまりに多いと細胞組織まで傷つけてしまう。活性酸素の毒性は有名だ。活性酸素はまずSODによって過酸化水素に分解され、さらに鉄とタンパク質とからできている「カタラーゼ」という酵素によって水と酸素に分解される。鉄はタンパク質と結びつくことによって酵素を形成し、鉄単体での100億倍もの過酸化水素処理能力をもつようになる。こうした酵素を多く持つほど、生物としての寿命も長くなる。生物の進化に於いて鉄は体内の酸素をエネルギーとして有効活用すると同時に、余分な活性酸素を無害化するという一見相反する2つの大きな役割を果たしてきた。
欲望はエネルギーを生み出すものであり人間として不可欠ですが、欲望があまりに多いと社会生活を阻害します。なので、これを抑制する必要があります。欲望を抑制するのは良識です。良識は全ての人間に広く分け与えられているモノです(@デカルト)。欲望は良識により毒性を分解されます。鉄分がタンパク質と結びつくことにより酵素を形成し過酸化水素処理能力をもつようになる如く「良識化された欲望」を持てば持つほど、社会的存在としてのヒトの寿命は長くなります。よって人間は生育過程の中で「欲望をエネルギー源として活用する技術」を学ぶと同時に「過剰な欲望を無害化する技術」を学ぶ必要があるのです。相反する「欲望と良識」をバランスよく摂取する「哲分補給の意識」こそが良い社会生活を導くのですね。