最後まで乗っていれば必ずどっか席は空くよ
中村修治さんがフェイスブックに次の記述を引用していました。
やなせたかし先生が「電車は、最後まで乗っていれば、必ずどっか席は空くよ」つってたのがワタシの心の支えです(@椎名高志)。
これを受けて中村さんは次のように述べています。
早いもん勝ちは、どの道、ジリ貧である。続けたもん勝ち。続けてこそ大器晩成である。必ずどっか席は空く。それまで悠々と立ち続けておけばいいのである。そのうちみんな降りていく。最後はいちばん眺めの良い席にどっかと座って終着駅に着けばいい。ネット社会は自己評価なんてアテにならないということを暴いてくれた。では、そういう時代に他者評価はいかに得るのか?結局、続けることである。ずっと立ち続けている人が輝いているのかもしれないことを教えてくれるのもインターネットである。
私も「自分の居場所」が判らず呻吟していた時期がありました。哲学社会学など思弁的性格の強い学問は「早いもん勝ち」の世界で存在意義を認められません。こういう抽象的学問は現実の世界に関する具体的知見(医学・工学・法学・経済学等)と異なり新参者のための席はほとんど空いていません。私の修行時代はバブル真っ盛りでした。そのため私と同じ傾向をもつ多くの若者が「自分の居場所が無い」と絶望しながら「早いもん勝ちの椅子取りゲーム」に参加することを強いられました。私は「自分の席」を見出すまでに相当なエネルギーと時間を要しましたが、結果として(40歳を過ぎて)何とか自分なりの<席>を見いだせたように思うのは、無意識ながらも「最後まで乗っていれば、必ずどっか席は空く」という楽観的な感覚を私が持っていたからかもしれないなあと感じています。このHPはネット上における「自分の席」です。終着駅がどこか全く判りませんが、自分にとっては眺めが良い席であり、けっこう気に入っています。