5者のコラム 「芸者」Vol.96

日常性の維持

渡辺竜王の奥様(伊奈めぐみさん)が「妻の小言」でこう(★)書かれています。
1 「ちょっと最近の渡辺棋王は心配です。私が応援しても始まりません。奥様の一喝をお願いします」★私が一喝しても始まりません。
2 「負けが込んでて心配ですが、旦那様に対しての心のケアは特にしておられますか?竜王奪還と棋王防衛に向けて何とかカツを入れて下さい」★入れません。
3 「もっと『妻の小言』でハッパをかけてください!」★かけません。
4 「渡辺棋王は6連敗されていましたが、家で何か変化とかはあったのでしょうか?」★いつも通り、サッカーを見たり、競馬をしたりしていました。
5 「6連敗した時にどんな慰め方をされたのですか?」「プロ棋士の奥様として、常日頃から御主人様のため細やかな配慮を払い貴重な務めを果たしておられることと思います」「少し負けが続いても立ち直り早いですよね、渡辺くん。やっぱり暖かいご家族の支えがあるからこそなんだろうなと妄想してます」★慰めも配慮も支えもないです。と、ここまで書いて自分が冷たい人間な気がしてきました。まぁ気のせいですね。竜王戦のお祝いに、お花などいただきました。旦那に特別な世話はしないけれど、お花の世話はきちんとしようと思っています。
 弁護士は依頼者の「過剰な喜び」「過剰な怒り」「過剰な落ち込み」に一喜一憂しないことが肝要です。たしかに時と場所を心得た共感的な態度は必要です。しかし法的紛争には相手がいますし冷徹な第三者(裁判官)もいます。弁護士は「自分が一喝しても始まらない」「カツを入れない・ハッパをかけない」と自覚し、本人の「日常性の維持」を支援する。これが理想的な弁護士と依頼者の関係ではないか?上記ブログを読みながら私はそう感じました。