5者のコラム 「学者」Vol.46
文明史的中国論
茂木健一郎氏は「中国八策」と題してブログでこう述べています。
1 GDPで日本を抜いて世界第2位の経済大国になった中国。いろいろと問題があるにせよ中国が今後とも日本の隣人であり続けることには変わりがない。
2 隣りに強大な中国が存在する状況を私たちの祖先は経験してきた。その頃のつき合い方の「DNA」を思い起こせば未来のあり方が見えてくるはずだ。
3 「漢字」など多くの恩恵を中国から受けてきた日本だが科挙・宦官・中国式の発音など日本人の感性・美意識に合わないものは輸入して来なかった。
4 中国の政体は常に問題を抱えていた。現実が理想から遠いからこそ孔子をはじめとする知識人は国のあり方に悩み理想を説いてきた。
5 「易姓革命」を何度も経験し「元」や「清」など異民族による王朝樹立が起こってきた中国における歴史観は、継続性を重視する日本のそれとは異なる。現在の中国共産党による支配も「王朝交代」の一時期として相対化すること。
6 中国人の世界観は徹頭徹尾「人間」を中心としている。人格神が「理神論」となり普遍的自然法則の概念に至った西洋の枠組みとは異なる。法治主義が徹底せず、面子が過剰なまでの意味を持つ中国人の行動様式を理解すべきだ。
7 中国の経済発展はどこかで頭打ちになる可能性がある。経済がソフト化した時、思想・表現の自由がない社会はさらなる発展の阻害要因になろう。
8 中国の隣りにある利益を享受しつつ日本の価値を世界に向ってアピールすることが中長期的に見て日本の国益に適うと考える。
中国との関係で近視眼的見解が目立ちます。こういう引いた視点が必要です。