戦士たちの討ち死に
吉岡秀人氏はHUFFPOSTSCIETYで次のように述べています。
あの頃の医師たちは自分たちが従事しているのがサービス業だと理解していなかっただろう。自分たちは福祉や社会保障の分野の一員だと理解していた。だからサービス残業は当たり前だった。24時間働き続けても頑張ることが出来た。(略)それは医師たちが社会福祉・社会保障の戦士だと信じ、自らを慰めていたからこそ成立したのだと思う。病院は経営下手で、慢性赤字。誰も労働に対して十分な給与などもらえていないからこそ、なんとなく成立していた異常なシステムだったのだと思う。しかし「患者さん」が「患者様」になった現在、医療は福祉事業からサービス業になってしまった。私の予想では、きっと日本は2重保険制度が主流になる。皆保険の適応範囲は限定され、それ以外は任意保険でカバーする仕組みに変わっていくだろう。車でいう自賠責が皆保険に相当する感じになるだろう。それを目当てに海外の保険会社が乗り込んで来る日も近い。これから私たちは医療分野で福祉の戦士が討ち死にしていく光景を目の当たりにすることだろう。
昔の弁護士は自分たちの行っている仕事が「サービス業」だとは認識していませんでした。自分は法曹三者の一翼として「正義を担う司法の一員」だと理解していました。だからこそ無償(これに準ずる低報酬)で「社会正義のため」頑張ることが出来たのです。しかし司法改革によって依頼者が「お客様」になった現在、弁護士業務は「正義の仕事」から「サービス業」になりつつあります。車両保険における自賠責と任意保険の2重構造をまねる形で医療制度が変革されるのならば、弁護士業界も貧民のための国家制度(法テラス・契約弁護士)とブティック法律事務所(民間弁護士費用保険とセット)に分断されていくのでしょうか?そして私たちは法律の分野においても「社会正義の戦士たち」が「討ち死に」していく光景を目の当たりにするのでしょうか?