患者さんを待たせること
精神科医富田伸先生がこう書いておられます。
僕は人を待たせることがあまり好きではない。最近でこそずいぶんと楽にはなってきたが、事情により約束の時間に遅れたりすると不安と焦燥でいっぱいになる。そのことに比べると待つ方が随分と楽である。(略)そんな僕なので当然、患者さんを待たせることにはかなり気を遣う。(略)問題は、待たせている方々の方が気になりすぎて、今この診察室に座っていらっしゃる方に気を集中できないということだ。これはプロフェッショナルとしては致命的だ。そこで皆さんにご協力を頂きたいのが「待ち時間を楽しく過ごせる方法」についてである。(略)開業の時に僕が思いついたのは図書コーナーを作ることだった。所詮ブックストアを待ち合わせの場所に指定するような人間の発想だ。心身の回復に役に立つであろう書籍をあれこれ物色しているつもりではある。(「精神科医というビョーキ」西日本新聞社)
私も人を待たせることが好きではありません。待つのは平気ですが、待たせることが嫌いです。裁判所の期日には早めに出向きます。飛行機の出発時刻などに至っては相当早く空港に着いています。当然、依頼者を待たせることには気を遣います。私の都合でお待たせするよりも依頼者の方が早く事務所に着きすぎてお待たせすることが多いのですが、それでも依頼者を待たせていることは私にとって気持ちが悪いものです。そのため私も「待ち時間を楽しく過ごせる方法」について多少意識しています。事務所開設の時に私が思いついたのも待合室に図書コーナーを作ることでした。と言っても法律問題の役に立つ書籍を並べている訳ではありません。多くは私が読んだ文庫本・新書本・美術館や博物館の図録・写真集などです。漫画もいくつか全巻取り揃えています。他にアニメのフィギュアを若干並べています。子供さんに喜ばれますが最も喜ばれるのは中年男性です。