5者のコラム 「学者」Vol.63
弁護士のあるべき姿
「論語」は日本人の教養の基本として長年にわたり読み継がれてきた古典中の古典です。
1 子曰く、君子は矜なるも争わず、群すれど党せず。
教養人は誇りを持つが争わない・共同生活するが徒党は組まない。
2 子曰く、君子は諸を己に求め、小人は諸を人に求む。
教養人は責任を自己のうちに求め、世間人は責任を他者に求める。
3 子曰く、君子は泰にして驕らず、小人は驕りて泰ならず。
教養人は堂々とするのに驕らない、世間人は驕るくせに堂々としていない。
4 子曰く、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。
教養人は仲良くするが雷同しない、世間人は雷同するくせに仲良くできない。
上記「論語」の記述を規範として弁護士のあるべき姿を考察してみましょう。
1 優れた弁護士は高いプライドを持つ。非本質的な細かいことでは争わない。他者と共同生活はするが個人としての矜持をもって行動し徒党は組まない。
2 優れた弁護士は責任を自己に求める。他者に問題があっても係わりを持った自分の責任に引きつけて考える。自分を棚に上げて他者を責めるようなことはしない。
3 優れた弁護士は堂々としているのに驕らない。実体のない上辺だけの飾り付けをしない。中身が充実しているので世間に対し虚勢を張る必要がない。
4 優れた弁護士は他人と仲良くするが雷同しない。大事なところでは譲らないが、しかし他者との日常的なコミュニケーションは大切にする。