5者のコラム 「芸者」Vol.16
市場原理主義と司法改革
赤坂真理氏は「モテたい理由」(講談社現代新書)でこう述べています。
1 男の価値の大暴落:男が自信を喪失して久しい・その反面女が元気である。元気な女を相手に出来ない男は情けない、と年長世代や女たちから責められている。
2 コムスメたちの手練手管:自分が一番多くの異性の目を集めながら最高の1人からプロポーズをもらえること。自分は餌をまき獲物を待つ。目当ての獲物がかかったとき。言わせたいひと言を「相手の意思で」言わせたときの歓び。ああ、受け身の攻撃性。
3 獰猛な恋愛資本主義:「モテ」という言葉が商業化され、社会の強迫観念とまでなったのは女によるものではなかったとの仮説を私は持っている。それは女にとってあまりに自明であるため、特にそれを大々的に商売にして儲けようとする考えは女自身には薄かった。
弁護士業界も資格価値の大暴落・依頼者の手練手管・猛烈な資本主義化が進んでいます。司法改革推進者の想定どおりの進行です。赤坂氏は「男たちの受難」としてこう記しています。
だから女の人は僕たちをほっといてくれていいです・僕たちにただそっと好きなことをさせてください、という本田透の要求はしごくまっとうでつつましやかなものである。
それなのに女たちと恋愛資本主義が「恋愛市場に参入しないのは努力の欠如であり悪である」とバッシングしてくるのだ。
「市場原理」では測れない弁護士の存在意義だってあります。司法「市場原理主義」になじめない僕たちにも(ただそっと)好きなことをさせてください。