少年と対応する弁護士の原則
夏井睦「傷はぜったいに消毒するな」(光文社新書)の記述。
治療の原則は次の2つだ。①傷を消毒しない。消毒薬を含む薬剤を治療に使わない。②創面を乾燥させない。この治療法は現時点での傷の治療の原則である「消毒して乾燥させる(=ガーゼで覆う」と正反対であり、多くの病院で常識的に行われている傷の治療を完全否定するものだ。もちろん確固たる根拠があって完全否定している。この治療法が正しいことは擦りむき傷を食品包装用ラップで覆ってみれば判る。あのヒリつくような痛みがなくなるからだ。痛みがなくなった瞬間、あなたの体はあなたに「この治療法は正しい」と教えてくれるはずだ。(略)なぜ「消毒をしない・乾燥させない」だけで傷が速やかに治ってしまうのだろうか。それは傷が治る過程(創傷治癒過程)に最も適合した治療だからだ。従来の「消毒して傷を乾かす」治療では何故、駄目なのか。それは傷が治る過程を妨害するからだ。
少年と対応するときの弁護士の原則は次の2つ。①少年の心の傷を消毒しない。②少年の心を乾燥させない。この対応法は世間的な少年犯罪の対処法である「消毒して乾燥させる(=施設に拘禁して非難する)」と正反対で。マスコミ報道を全否定するものです。も弁護士は確固たる根拠があって否定しているのです。この対処法が正しいことは少年と向き合い、その立ち直ってゆく姿をみれば判ります。消毒して乾燥させた少年は犯罪を繰り返すことが少なくありません。が、自省を促し大人の寛容性を示された少年の更生した姿が「この対処法は正しい」と教えてくれるはずです。何故に「施設に拘禁せず・心を乾燥させないこと」で傷が速やかに治ってしまうのか?それは少年の傷が治る過程(社会的復帰過程)に適合した対処方法だからです。「消毒して傷を乾かす」治療は何故駄目なのか?それは少年が立ち直る過程を妨害するからです。