5者のコラム 「易者」Vol.127

寺だけでは食っていけない

水月昭道氏は九州大学の博士号を持つ研究者ですが真宗本願寺派の住職でもあられます。その水月さんが「お寺さん崩壊」(新潮新書)において寺院の収入と支出を説明されています。
1 収入
 イ 主収入(葬儀・法事のお布施) ロ 年会費(檀家から拠出される護持費)
 ハ オプション収入(墓石販売・納骨堂収入・駐車場経営など)
2 支出
 イ 光熱費・庭の管理費・営繕費 ロ 法要に関する経費(御菓子代など)
 ハ 接待費(寺は付き合い事が多い) ニ 謝礼(お手伝いの方に対する)
 ホ 交通費・防犯対策費など ヘ 図書費(書籍や聖典の購入費など)
 ト 通信費(寺は連絡事が多い・切手代や電話代やFAX代)
 チ 衣装代(袈裟は高額) リ 荘厳関連費(飾り費・お香・お花など)
 水月さんの場合、1から2を引いた金額(所得)は年間200万円程度にしかならないそうです。水月さんのキャリアに照らし、あまりに低いと言わなければなりません。多くの僧侶が「寺だけでは喰っていけない」ので兼業をしています。学校の先生や市役所等の公務員を兼業されている方が多いようです。しかし、それでもやっていけない方が多いので、山間部を中心に長い歴史を有する寺院の廃止(廃寺)が目立つようになっているのが現状です。深刻な問題です。
 弁護士も支出(経費)を要する仕事です。経費を上回る収入がなければ事務所の維持は出来ません。このまま「司法改革」の流れが続いてゆくと弁護士も「兼業しなければ喰っていけない」ようになり、そのうちに「法律事務所崩壊」(廃所・廃業)が目立つようになるでしょうか?(涙)