5者のコラム 「5者」Vol.37
商売行為と品位(米倉教授の発言)
米倉明教授は戸籍時報652号62頁でこう述べます。「昨今の司法書士に比べると弁護士は商売気において著しく減退している。弁護士事務所にしても,まるで拘置所か幽霊屋敷よろしく,内部を一切見られないようにし,かつ,ドアを固く閉ざして,中にうっかり入ろうものなら,いくら支払えと請求されるか見当も付かないといった感じである。」「民事事件の掘り起こしについても,もっと努力する必要がある。例えばマンションの管理組合をめぐり歩いて事件を拾い集めるといった足で歩くこともぜひしてもらいたい。」ボ2ネタのコメント欄には以下の指摘が。
1 自分が依頼者の立場になったとき「まいど~何か事件ないっすか?」と御用聞きに回る弁護士に頼もうという気持ちになるか、想像力を働かせてはどうか。
2 弁護士は面識のない者に対し訪問又は電話による広告をしてはならない(弁護士の業務広告に関する規程第五条)という規定を教授は知らないのか?。
3 重大刑事事件の被告人の親族と打合せをするのに外から内側を覗かれる構造だったらどうなのか。そんな想像を働かせることもできないのですね。
学者が、学問を離れて外の世界に自己の見解を発信する場合は自己の社会的立場と発信媒体をよく考えていただきたいと願います。私はマンションの管理組合をめぐり歩き事件を拾い集めるという恥ずかしい行動をする気はありませんし、依頼者のプライバシーや事務員と私のセキュリティが護られない開放的構造に事務所を改造する気もありません。業務広告に関する規程第五条が存在する中で違法行為を扇動する意味を教授がどう考えているのかも私には判りません。