5者のコラム 「医者」Vol.39

危険だが髙反応性を有する若手

私は医者4(07年1月16日)において若手弁護士の特徴を「エネルギーの過剰(熱意)があり、他方で何らかの欠如感(不安)がある・総体的に安定性が不足している」と描写しました。上記文章は若手の特性を「否定的文脈」で認識していますが「肯定的文脈」でとらえるべき若手の特質もあります。それは高い反応性を有する酸素分子において見いだされます。
 小城勝相「生命にとって酸素とは何か」(講談社ブルーバックス)はこう述べます。

まさにここに酸素の秘密があるのですが、酸素は分子を作る2つの原子が形式上ともに7つの電子しか持っていません。両端に単独で存在する電子があるのが特徴で「不対電子」と呼ばれています。不対電子が2つあるのなら合わせてペアにしてしまえばいいようなものですがそうはいきません。エネルギーを与えることで実際にそのような分子を作ることが出来るのですが、不安定ですぐに元の酸素に戻ってしまいます。「一重項酸素」と呼ばれるこの分子は反応性が高く細胞に傷害を与えるという性質も持っています。この性質を逆手にとって、一重項酸素を発生させて癌細胞を殺すという試みも実際に行われています。(中略)ラジカルはラジカル同士、速い速度で結合するという性質を持っています。酸素はそれ自身が不対電子を持つラジカルなので、ラジカルと素早く結合します。

若手弁護士ペアは「不対電子を有する酸素分子」に似ています。高い反応性を保持した状態でペアを維持することが出来るのです。ここが通常の化学物質の形成と違うところで、反応性が高い状態で安定した分子として存在することができるのが若手弁護士の強みです。この力を活用すれば弁護士会組織にインパクトを与えることが出来ます。一般に若手にはラジカルな面がありますから、かような反応性は(場合によっては)組織の攪乱要因になりますけど、弁護士会も若手弁護士の高い反応性をうまく取り入れていかなければ老齢化により死滅してしまう可能性がありますね。

易者

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