刑事政策のイメージ
私は役者29で、法務総合研究所・刑務所・少年鑑別所・保護観察所という非行や犯罪を専門的に扱う機関の職員の方々が「刑事裁判や刑事政策の分野におけるマスコミ報道が事実を脚色する傾向が強いこと」を憂慮していると述べました。今後、一般市民が刑事裁判にかかわるのならば刑事政策の正確なイメージを持っていただきたいと願います。
松本勝編著「更生保護入門」(成文堂・09年)は以下の構成です。
第1章 更生保護の意義と歴史 第2章 刑事司法手続の概要
第3章 更生保護の機構 第4章 仮釈放制度
第5章 生活環境調整と就労支援 第6章 保護観察概説
第7章 保護観察各論(処遇) 第8章 保護観察対象者の特性
第9章 更生緊急保護 第10章 更生保護事業
第11章 恩赦 第12章 犯罪被害者等支援活動 第13章 犯罪予防と民間協力組織
第14章 犯罪者の社会内処遇 第15章 心神喪失者医療観察制度の概要
目次を見ているだけでも現代の刑事政策の一部を俯瞰できるような感じがしませんか?
平野龍一「矯正保護法」(有斐閣)「はじめに」には次の記述があります。
「有罪の認定をしたとき裁判官の仕事はそれで終わるのではない。仕事はそれから始まるのだ。」「有罪無罪の判定は誰にでもできる。むずかしいのはそれからだ。」
非行や犯罪を専門的に扱う機関の職員の方々は毎日かような「むずかしい仕事」を続けておられます。市民参加型刑事訴訟は刑事裁判が「誰にでもできるもの」と想定されているのでしょうが「むずかしい仕事」である矯正(施設内処遇)や保護(社会内処遇)を見越して適切な刑事裁判を行うのは「むずかしい仕事」なのではないでしょうか?