5者のコラム 「芸者」Vol.132

出るお金と入るお金のバランス

山崎武也氏は「金持ち哲学」(三笠書房)においてこう述べています。

まず自分が必要とする金の量を見極めておくのが出発点だ。そのうえで無理をしないで手に入れることが出来る金について見通しを付ける。その必要とする金と手に入れることができる金について様々な角度からチェックして折り合いを付けておく。その結果から大きく逸脱しないように自分と金の関係を推し進めてゆくのだ。当初の予想と異なり、両者間のバランスが崩れそうになったら必要とする金のほうについて見直すのが鉄則である。(20頁)

法律事務所も経営体ですから「出ていくお金」と「入ってくるお金」の関係性を定期的に確認することが肝要です。両者間のバランスが崩れそうになったら必要とするお金のほうについて見直すのが鉄則。何故なら弁護士業務に於いて入ってくるお金は自分の意思でコントロールできないことが多いからです。 麻雀において「ツモはコントロールできないけど捨て牌はコントロールできる」ものであるように、弁護士業務でコントロールできるのは経費です。ゆえに事務所の運営において必要となる最低限のお金の量を見極めることが不可欠です。弁護士業務において入ってくるお金は無理をしないで手に入れることが出来るものでなければ後で反動が来ます。ツモをコントロールできるかの如き幻想に支配されたときに弁護士の転落への第1歩が始まると私は感じます。どんなツモが来ても現実と受け止めてコントロールできる捨て牌の意識を高めることが大切なのでしょう。もちろん弁護士も社会人として年齢でライフステージが変わります。齢を重ねるとともに必要な金の量は変動していきます。弁護士が経費を最小にしてでも法律事務所の運営が出来ないような社会になっていくのならば、そんな社会では弁護士は廃業せざるをえなくなるのでしょうね(涙)。

易者

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