マーケテイング業界の哲学
鈴木由加里氏は世に蔓延する「モテ論」をこう批判しています。
このような著書で展開されるのは意中の男性や不特定多数の男性に好感を持たれ・愛されるためには何をしたらよいのか、という指針だ。メイクの仕方やファッションだけでなく異性に対する態度や人生の生き方など多岐にわたってモテを中心とした人生哲学を語ってくれる。モテるためのメイク・モテるための服・モテるためのアクセサリーなど「女性装備」一式についてのマニュアルだけなら、すっきりとしていて良いのだが、それだけでなくて「モテ」て愛されて幸せになるための「哲学」がくっついてくる。他人に好感を持たれるためには「見た目」だけではなく内面からにじみ出るような心がけやマナーや礼儀や人生観や人間観・・が大切なのだということは理解できるのだが、その御高説やら人生論はかなりうっとうしい。「モテ」の先にある幸福論がどうもいかがわしいのである。(「『モテ』の構造」平凡社新書)
弁護士業界もマーケティング会社の勧誘が盛ん。莫大な広告費をかけ全国から依頼者を集客したA事務所やM事務所の強い影響が見受けられます。マーケティングで展開されるのは「不特定多数の消費者(潜在的相談者)に好感を持たれるために何をしたらよいか」という指針です。彼らは弁護士の「法律家としての力量」ではなく消費者に対する態度や経営者としての生き方など「モテを中心とした経営哲学」を語ってきます。モテて幸せになるための「哲学」がくっついてくる。私は無意味に売上を増やそうと思っていません。事務所の拡大など考えていません。自分で出来る適量の仕事を・自分のペースで・やっていくのが私の哲学。それを超えた「モテ」には興味がありません。