ブームと研究の関係
世間は風水ブームです。家の建て方など商売道具としての風水がマスコミで関心を呼んでいます。しかし風水を学問的に研究している方からは困った眼差しが向けられています。
三浦國雄氏は「風水講義」(文春新書)でこう述べます。
問題は、この「研究ブーム」と世間の「風水占いブーム」との関係である。ごく単純化して言えば、前者は「学」で後者は「術(ノウハウ)」というまったく質の異なるものであって、両者の「混在現象」が存在するのは事実にしても「風水占いブーム」は「決してアカデミズムにおける研究者が興しているわけではない」(渡邊「風水の社会人類学」風郷社2001年)。筆者も一線を画しているし、われわれがブームを扇動したわけでもない。それどころか「思わぬ『風水ブーム』の到来によって、今や学術研究にとっては大変不幸で困難な環境になってしまった」(同上)との思いは渡邊氏と共有している。「風水占いブーム」の渦中で実益のない風水を勉強するというのは誤解を招くし、とても居心地が悪い。
弁護士を主人公にしたドラマが多数製作されています。「行列が出来る法律相談所」などタレント弁護士が出現するバラエティー番組も現れました。私はこの流れの根底に「法化社会の到来」があるのかと当初は思っていました。しかし両者は全く質が異なるものです。司法改革の論議が弁護士番組ブームを生じさせたわけではありません。むしろ、弁護士番組ブームが、普通の弁護士の仕事内容を社会に理解してもらうには不幸で困難な環境を生じさせたとも言えます。何故なら弁護士番組ブームで表現されている弁護士の仕事のあり方は実務と全くかけ離れたものだからです。テレビ番組の内容を信じ込んだ相談者から「テレビと違うじゃないか!」と言われても困ってしまうのです。