ウンコ臭を排除する日本社会の病理
藤田紘一郎先生(東京医科歯科大学名誉教授)はこう述べています。
日本社会はウンコやその臭い、また他人菌や自他の体臭を「汚い」「臭い」と排除することに努めています。清潔にいそしむ日本社会は自然との融和を拒否し、高度に管理されたまるで家畜小屋のようではないでしょうか。自分もウンコをするくせに他人のウンコを許せない日本人は正直わがままな人種です。わがままな考えは排他的でストレスフルな社会を築きます。(「できる男はウンコがデカい」宝島社新書)
最近は消臭剤の売り上げが莫大になっており体臭を気にするあまり医療機関に相談に行く人も少なくないようです。身体的治療が必要なのは極一部で、大多数はメンタルなものです。日本の管理社会化は最近ますます酷くなっています。社会にはいろんな考え方の人が雑然と存在して良いはずなのですが、気に入らない考え方の者を(自分だってウンコをするのに)「ウンコ」のようなものとして抹殺(排除)したがる人が増えたように私は感じます。国際関係にしてもそうです。全ての国や文化にウンコのようなものがあり特有の強烈な臭いがあります。当然のことながら日本には日本特有のウンコ臭があります。なのに他国のウンコ臭だけが許せない日本人が増えているような感じがします。かつて作家・遠藤周作氏は「ウンコッシュ・ヒューマニズム」を提唱しました。「○○だってウンコする」と考えることで他者に対する憎しみや嫌悪感を相対化しようというものです。体臭を気にする人が増え消臭剤の売り上げが莫大になるという事態は精神的ビョーキが蔓延している象徴です。日本人はウンコ臭やバイ菌にもっと寛容になるほうが良いのではないでしょうか。自分もウンコをするのだから・臭いを発しているのだから・バイ菌と共生しているのだから。